エスペラント語5分間講座

このページでは、エスペラント語の特徴…発音のやさしさ、単語の覚えやすさや国際性、文法の規則性などを紹介していきます。

0. サルートン!(まずは挨拶から)

まず最初に、エスペラント語での挨拶言葉をいくつか紹介します。
エスペラント語を学んでいる方を見かけたら、「サルートン!」と挨拶してみてください。きっと喜ばれるでしょう。

サルートン!(Saluton!):こんにちは
( 時間を問わない軽い挨拶。英語の「Hello!」と似た使い方になります)

ボーナン・マテーノン!(Bonan matenon!):おはようございます(朝の挨拶)
ボーナン・ターゴン!(Bonan tagon!):こんにちは(昼間の挨拶)
ボーナン・ヴェスペーロン!(Bonan vesperon!):こんばんは(夕方~夜の挨拶)
(Bonan(良い~)の後に単語を続けるのが、いろいろな挨拶の定番パターンです)

ダンコン!(Dankon!):ありがとう!
パルドーノン(Pardonon):ごめんなさい。
ジス・レヴィード!(Ĝis revido!):さよなら!
(直訳すると「また会うときまで!」。もっと気軽な場面では「ジス!」と縮めることも多いです)

緑星旗(エスペラント運動のシンボル旗)
緑星旗
(エスペラント運動のシンボル旗)

1. 文字(アルファベット)

 エスペラント語のアルファベットは28文字あります。
 そのうち6文字が、文字の上に記号(字上符)が付いた、エスペラント語独自のアルファベットです。
 英語のアルファベットのうち、Q, W, X, Yの4文字は、エスペラント語では使いません(ヤ行の発音はドイツ語と同様に Y ではなく J を使います)。
 C は英語の TS、Ĉ は CH、Ŝ は SH です。このようにエスペラント語では、1つの音を1つの字で表すという特徴があります。

大文字小文字読み
Aa
Bb
Ccツォ
Ĉĉチョ
Dd
Ee
Ffフォ
Gg
Ĝĝヂョ (*1)
Hh

(*1) 「チョ」を濁音にした発音です

大文字小文字読み
Ĥĥホ (*2)
Ii
Jj
Ĵĵジョ (*3)
Kk
Llロ (*4)
Mm
Nn
Oo
Pp

(*2)「コ」と「ホ」の中間の発音。のどの奥で摩擦音を出す「ホ」です(この字はkに置き換えられてだんだんと利用が減り、今では見かける機会が少なくなりました)
(*3)「ショ」を濁音にした発音です
(*4) LとRの区別は、多くの外国語と同様にエスペラント語にもあります

大文字小文字読み
Rrロ (*4)
Ss
Ŝŝショ
Tt
Uu
Ŭŭウォ (*5)
Vvヴォ
Zz

(*5) ほとんど aŭ(アゥ)か eŭ(エゥ)の形で用いられます

2. 単語(国際性の原則)

 エスペラント語の単語は、国際的に広く使われている単語から選ばれています。 だから、エスペラント語を知らない人でも、「あ、この単語は何となくわかる!」ということが多いのではないでしょうか。

英語とよく似た単語の例

比率はちょっと低めですが、「これ英語でしょ?」と感じるような単語がいろいろとあります。
なお、“tomato” は英語では「トメイトゥ」ですが、エスペラント語では「トマート」、概ねローマ字読みで大丈夫です。

単語発音意味
longaロンガ長い
studentoストゥデント学生
tomatoトマートトマト
dancoダンツォ踊り
havasハーヴァス 持つ

ラテン系言語由来の単語の例

フランス語、スペイン語、イタリア語などのラテン系言語由来の単語が、エスペラント語には多めに含まれています。
このため、エスペラント語の響きが「スペイン語やイタリア語に似ている」と感じる方が多いようです。

単語発音意味
lunoルーノ
libroリブロ
panoパーノパン
belaベーラ美しい
bonaボーナ良い

日本語由来の単語の例

あまり多くはありませんが、相撲や寿司など、日本の文物などを示す単語では、日本語由来の単語もあります。

単語発音意味
sumooスモーオ相撲
suŝioスシーオ寿司
cunamoツナーモ津波
sojoソーヨ醤油
samurajoサムラーヨ

3. 品詞(規則性)

 上の例にもあるように、活用のある単語の品詞は語尾で決まります。 このように語尾の母音(と子音)自体が意味を持っていることが、多くのヨーロッパ系言語にない特徴の一つです。(日本語や韓国語などといった「膠着語」に分類されることもあります)

 なお、動詞の語尾変化は常に規則変化です。不規則動詞はありません

エスペラント語の品詞と語尾

語根名詞 (-o)形容詞 (-a)動詞・現在 (-as)動詞・過去 (-is)
lum- (光)lumo 光 (ルーモ)luma 明るい (ルーマ)lumas 光る (ルーマス)lumis 光った (ルーミス)
am- (愛)amo 愛 (アーモ)ama 愛の (アーマ)amas 愛する (アーマス)amis 愛した (アーミス)
est- (~である)esto 存在 (エスト)esta 存在する (エスタ)estas ~である (エスタス)estis ~だった (エスティス)
danc- (踊)danco 踊り (ダンツォ)danca 踊りの (ダンツァ)dancas 踊る (ダンツァス)dancis 踊った (ダンツィス)

4. 代名詞

 英語の代名詞は「アイマイミー、ユーユアユー、ヒーヒズヒム…」と不規則で覚えるのが大変ですが、エスペラント語の代名詞はとても規則的にできています。
 所有格の語尾変化は前項で紹介した「形容詞の語尾 -a」、目的格は次項で紹介する「対格の語尾 -n」と同じです。
 英語と同じように暗唱して覚えたいなら「ミ・ミア・ミン、ヴィ・ヴィア・ヴィン、リ・リア・リン…」となるでしょう。

エスペラント語の代名詞

人称・単複主格所有格 (-a)目的格 (-n)
一人称単数mi 私mia 私のmin 私を
二人称(単複同形)vi あなた/あなた達via あなたの/あなた達のvin あなたを/あなた達を
三人称単数男性li 彼lia 彼のlin 彼を
三人称単数女性ŝi 彼女ŝia 彼女のŝin 彼女を
三人称単数中性ĝi それĝia そのĝin それを
一人称複数ni 私達nia 私達のnin 私達を
三人称複数ili 彼ら/彼女ら/それらilia 彼らの/彼女らの/それらのilin 彼らを/彼女らを/それらを

5. 複数と対格

 エスペラント語の名詞と形容詞には、複数と対格の活用があります。 「対格」は主に、目的語を示すときに使います。
 複数形は語尾に -j をつけます。読み方は語尾に軽く「ィ」を添える感じです。

libro 本 [単数](リブロ) –> libroj 本 [複数](リブロィ)
knabo 少年(クナーボ) –> knaboj 少年達(クナーボィ)

 対格は語尾に -n をつけます。目的語として使うことが多いので、日本語でいえば「~を」を語尾につけるのと同様です。

libro 本(リブロ) –> libron 本を(リブロン)
knabo 少年(クナーボ) –> knabon 少年を(クナーボン)
vi あなた(ヴィ) –> vin あなたを(ヴィン)

 複数形の対格の場合は、語尾に -jn をつけます。読み方は語尾に「ィン」をつける感じです。

libro 本 [単数] (リブロ) –> librojn 本[複数]を (リブロィン)
knabo 少年(クナーボ) –> knabojn 少年達を(クナーボィン)

【形容詞の活用】

 英語にはない(ドイツ語などにはある)ちょっと難しい特徴として、名詞を複数形や対格にする場合は、それに掛かる形容詞も同じく複数形や対格にする、というルールがあります。
 初心者のみならず、中級者でもうっかり忘れがちなので、初歩のうちから意識的に習慣付けるようにしましょう。

bona libro 良い本 [単数](ボーナ リブロ) –> bonaj libroj 良い本 [複数](ボーナィ リブロィ)
bona libro 良い本(ボーナ リブロ) –> bonan libron 良い本を(ボーナン リブロン)
bona libro 良い本 [単数] (ボーナ リブロ) –> bonajn librojn 良い本[複数]を (ボーナィン リブロィン)

ザメンホフの肖像画
エスペラント語考案者 ザメンホフ

6. まとめ (自己紹介の例文)

 このページでは「5分間講座」として、エスペラント語についてほんの簡単な部分を紹介しました。ここまでで出てきた文法や単語を利用して、簡単な自己紹介の例文を作ってみます。

Saluton!
(サルートン!)こんにちは!
Mi estas Masao.
(ミ エスタス マサオ)私はマサオです。
Mi estas studento.
(ミ エスタス ストゥデント)私は学生です。
Mi amas dancon. Mi dancas ĉiutage.
(ミ アーマス ダンツォン。ミ ダンツァス チウターゲ)
私は踊りが好きです。私は毎日踊ります。 ※ ĉiutage = 毎日
Dankon!
(ダンコン!)ありがとうございます!

「エスペラントって何?」「どこで使えるの?」「どうやって学ぶの?」……
初めてエスペラントに触れる皆様の、そんな好奇心にお応えするための広報ウェブサイトです。どうぞご覧ください。

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