このページでは、エスペラント語の特徴…発音のやさしさ、単語の覚えやすさや国際性、文法の規則性などを紹介していきます。
0. サルートン!(まずは挨拶から)
まず最初に、エスペラント語での挨拶言葉をいくつか紹介します。
エスペラント語を学んでいる方を見かけたら、「サルートン!」と挨拶してみてください。きっと喜ばれるでしょう。
● サルートン!(Saluton!):こんにちは
( 時間を問わない軽い挨拶。英語の「Hello!」と似た使い方になります)
● ボーナン・マテーノン!(Bonan matenon!):おはようございます(朝の挨拶)
● ボーナン・ターゴン!(Bonan tagon!):こんにちは(昼間の挨拶)
● ボーナン・ヴェスペーロン!(Bonan vesperon!):こんばんは(夕方~夜の挨拶)
(Bonan(良い~)の後に単語を続けるのが、いろいろな挨拶の定番パターンです)
● ダンコン!(Dankon!):ありがとう!
● パルドーノン(Pardonon):ごめんなさい。
● ジス・レヴィード!(Ĝis revido!):さよなら!
(直訳すると「また会うときまで!」。もっと気軽な場面では「ジス!」と縮めることも多いです)
1. 文字(アルファベット)
エスペラント語のアルファベットは28文字あります。
そのうち6文字が、文字の上に記号(字上符)が付いた、エスペラント語独自のアルファベットです。
英語のアルファベットのうち、Q, W, X, Yの4文字は、エスペラント語では使いません(ヤ行の発音はドイツ語と同様に Y ではなく J を使います)。
C は英語の TS、Ĉ は CH、Ŝ は SH です。このようにエスペラント語では、1つの音を1つの字で表すという特徴があります。
大文字 | 小文字 | 読み |
---|---|---|
A | a | ア |
B | b | ボ |
C | c | ツォ |
Ĉ | ĉ | チョ |
D | d | ド |
E | e | エ |
F | f | フォ |
G | g | ゴ |
Ĝ | ĝ | ヂョ (*1) |
H | h | ホ |
(*1) 「チョ」を濁音にした発音です
大文字 | 小文字 | 読み |
---|---|---|
Ĥ | ĥ | ホ (*2) |
I | i | イ |
J | j | ヨ |
Ĵ | ĵ | ジョ (*3) |
K | k | コ |
L | l | ロ (*4) |
M | m | モ |
N | n | ノ |
O | o | オ |
P | p | ポ |
(*2)「コ」と「ホ」の中間の発音。のどの奥で摩擦音を出す「ホ」です(この字はkに置き換えられてだんだんと利用が減り、今では見かける機会が少なくなりました)
(*3)「ショ」を濁音にした発音です
(*4) LとRの区別は、多くの外国語と同様にエスペラント語にもあります
大文字 | 小文字 | 読み |
---|---|---|
R | r | ロ (*4) |
S | s | ソ |
Ŝ | ŝ | ショ |
T | t | ト |
U | u | ウ |
Ŭ | ŭ | ウォ (*5) |
V | v | ヴォ |
Z | z | ゾ |
(*5) ほとんど aŭ(アゥ)か eŭ(エゥ)の形で用いられます
2. 単語(国際性の原則)
エスペラント語の単語は、国際的に広く使われている単語から選ばれています。 だから、エスペラント語を知らない人でも、「あ、この単語は何となくわかる!」ということが多いのではないでしょうか。
英語とよく似た単語の例
比率はちょっと低めですが、「これ英語でしょ?」と感じるような単語がいろいろとあります。
なお、“tomato” は英語では「トメイトゥ」ですが、エスペラント語では「トマート」、概ねローマ字読みで大丈夫です。
単語 | 発音 | 意味 |
---|---|---|
longa | ロンガ | 長い |
studento | ストゥデント | 学生 |
tomato | トマート | トマト |
danco | ダンツォ | 踊り |
havas | ハーヴァス | 持つ |
ラテン系言語由来の単語の例
フランス語、スペイン語、イタリア語などのラテン系言語由来の単語が、エスペラント語には多めに含まれています。
このため、エスペラント語の響きが「スペイン語やイタリア語に似ている」と感じる方が多いようです。
単語 | 発音 | 意味 |
---|---|---|
luno | ルーノ | 月 |
libro | リブロ | 本 |
pano | パーノ | パン |
bela | ベーラ | 美しい |
bona | ボーナ | 良い |
日本語由来の単語の例
あまり多くはありませんが、相撲や寿司など、日本の文物などを示す単語では、日本語由来の単語もあります。
単語 | 発音 | 意味 |
---|---|---|
sumoo | スモーオ | 相撲 |
suŝio | スシーオ | 寿司 |
cunamo | ツナーモ | 津波 |
sojo | ソーヨ | 醤油 |
samurajo | サムラーヨ | 侍 |
3. 品詞(規則性)
上の例にもあるように、活用のある単語の品詞は語尾で決まります。 このように語尾の母音(と子音)自体が意味を持っていることが、多くのヨーロッパ系言語にない特徴の一つです。(日本語や韓国語などといった「膠着語」に分類されることもあります)
なお、動詞の語尾変化は常に規則変化です。不規則動詞はありません。
エスペラント語の品詞と語尾
語根 | 名詞 (-o) | 形容詞 (-a) | 動詞・現在 (-as) | 動詞・過去 (-is) |
---|---|---|---|---|
lum- (光) | lumo 光 (ルーモ) | luma 明るい (ルーマ) | lumas 光る (ルーマス) | lumis 光った (ルーミス) |
am- (愛) | amo 愛 (アーモ) | ama 愛の (アーマ) | amas 愛する (アーマス) | amis 愛した (アーミス) |
est- (~である) | esto 存在 (エスト) | esta 存在する (エスタ) | estas ~である (エスタス) | estis ~だった (エスティス) |
danc- (踊) | danco 踊り (ダンツォ) | danca 踊りの (ダンツァ) | dancas 踊る (ダンツァス) | dancis 踊った (ダンツィス) |
4. 代名詞
英語の代名詞は「アイマイミー、ユーユアユー、ヒーヒズヒム…」と不規則で覚えるのが大変ですが、エスペラント語の代名詞はとても規則的にできています。
所有格の語尾変化は前項で紹介した「形容詞の語尾 -a」、目的格は次項で紹介する「対格の語尾 -n」と同じです。
英語と同じように暗唱して覚えたいなら「ミ・ミア・ミン、ヴィ・ヴィア・ヴィン、リ・リア・リン…」となるでしょう。
エスペラント語の代名詞
人称・単複 | 主格 | 所有格 (-a) | 目的格 (-n) |
---|---|---|---|
一人称単数 | mi 私 | mia 私の | min 私を |
二人称(単複同形) | vi あなた/あなた達 | via あなたの/あなた達の | vin あなたを/あなた達を |
三人称単数男性 | li 彼 | lia 彼の | lin 彼を |
三人称単数女性 | ŝi 彼女 | ŝia 彼女の | ŝin 彼女を |
三人称単数中性 | ĝi それ | ĝia その | ĝin それを |
一人称複数 | ni 私達 | nia 私達の | nin 私達を |
三人称複数 | ili 彼ら/彼女ら/それら | ilia 彼らの/彼女らの/それらの | ilin 彼らを/彼女らを/それらを |
5. 複数と対格
エスペラント語の名詞と形容詞には、複数と対格の活用があります。 「対格」は主に、目的語を示すときに使います。
複数形は語尾に -j をつけます。読み方は語尾に軽く「ィ」を添える感じです。
libro 本 [単数](リブロ) –> libroj 本 [複数](リブロィ)
knabo 少年(クナーボ) –> knaboj 少年達(クナーボィ)
対格は語尾に -n をつけます。目的語として使うことが多いので、日本語でいえば「~を」を語尾につけるのと同様です。
libro 本(リブロ) –> libron 本を(リブロン)
knabo 少年(クナーボ) –> knabon 少年を(クナーボン)
vi あなた(ヴィ) –> vin あなたを(ヴィン)
複数形の対格の場合は、語尾に -jn をつけます。読み方は語尾に「ィン」をつける感じです。
libro 本 [単数] (リブロ) –> librojn 本[複数]を (リブロィン)
knabo 少年(クナーボ) –> knabojn 少年達を(クナーボィン)
【形容詞の活用】
英語にはない(ドイツ語などにはある)ちょっと難しい特徴として、名詞を複数形や対格にする場合は、それに掛かる形容詞も同じく複数形や対格にする、というルールがあります。
初心者のみならず、中級者でもうっかり忘れがちなので、初歩のうちから意識的に習慣付けるようにしましょう。
bona libro 良い本 [単数](ボーナ リブロ) –> bonaj libroj 良い本 [複数](ボーナィ リブロィ)
bona libro 良い本(ボーナ リブロ) –> bonan libron 良い本を(ボーナン リブロン)
bona libro 良い本 [単数] (ボーナ リブロ) –> bonajn librojn 良い本[複数]を (ボーナィン リブロィン)
6. まとめ (自己紹介の例文)
このページでは「5分間講座」として、エスペラント語についてほんの簡単な部分を紹介しました。ここまでで出てきた文法や単語を利用して、簡単な自己紹介の例文を作ってみます。
Saluton!
(サルートン!)こんにちは!
Mi estas Masao.
(ミ エスタス マサオ)私はマサオです。
Mi estas studento.
(ミ エスタス ストゥデント)私は学生です。
Mi amas dancon. Mi dancas ĉiutage.
(ミ アーマス ダンツォン。ミ ダンツァス チウターゲ)
私は踊りが好きです。私は毎日踊ります。 ※ ĉiutage = 毎日
Dankon!
(ダンコン!)ありがとうございます!
「エスペラントって何?」「どこで使えるの?」「どうやって学ぶの?」……
初めてエスペラントに触れる皆様の、そんな好奇心にお応えするための広報ウェブサイトです。どうぞご覧ください。